お座敷や舞台に上がる時の衣裳は、着物は裾引(すそひき)という丈の長い振袖(ふりそで)で、外を歩く時は褄(つま)をとって持ち上げ引きずらないようにします。幼さが売りの昔の名残(なごり)で、舞妓の着物には今も肩上げと袖上げがしてあります。これに、歩くと揺ら揺らとゆれる「だらりの帯」を締めるのです。見習いさんの間は、半分の長さの半だら。だらりの帯は長さが5メートルほどにもなりとても重く、一人では無理なので男衆さんなどに締めてもらいます。帯締めに通す「ぽっちり」という飾りが大きな帯留めも舞妓の特徴。花簪(はなかんざし)や足元のおこぼと相まって可愛さが引き立ちます。
化粧は、白塗り。びんつけ油を温め柔らかくして背中、襟足、首筋、顔に薄くのばし、その上に水で溶かした練り白粉(おしろい)を刷毛でつけ、パフでたたき整えていきます。最初はむらにならずに仕上げるのがたいそう難しく、お母さんや先輩に手伝ってもらうそうです。口紅は舞妓になったばかりの間は下唇だけにいれます。また、地髪で日本髪を結うところが鬘(かつら)をかぶる芸妓と大きく違うところ。髪型は赤い鹿の子が前後からのぞく「割れしのぶ」から始まり2年ほどすると、結んだ布が後ろ側からだけ見える「おふく」となり、いずれも、髪に四季の花などをあしらった華やかで可憐な花簪を挿します。すべてに可愛らしさ、可憐さを演出する伝統の美があふれています。