芸妓もそうですが、左褄をとってお座敷に向かう舞妓が小脇に抱えているのがお座敷かご。竹を編んだかごに巾着(きんちゃく)型の布カバーがかぶせられたあれです。かごの大きさは抱えてちょっと余るほどで一般的には13センチ×30センチほどの長方形。布の部分は普通、縮緬(ちりめん)。着物同様季節感にあふれ、夏になると絽(ろ)や紗(しゃ)を使い、色は薄く朝顔とか夏らしい柄になります。冬はかごの部分が黒っぽいものを使ったりします。では、このかご中に一体何が入っているのでしょうか。ある舞妓に見せてもらいました。なるほど、お化粧直し用の棒紅、懐紙、踊り用の手ぬぐい、舞扇、扇子、足袋(たび)入れに花名刺(千社札)、なぜか黒文字(楊枝)も入っている。これ、お客さん用かな。やはり、お座敷での振る舞いに欠かせないものが中心で、その中に伝統の知恵やそれぞれ舞妓の工夫がこらされているようです。